家庭と学校、それぞれの役割の違い
「お父さんとお母さんが、自分の役割について考えているんだって。」
夕食の準備を手伝いながら、私はふと母・有紗に聞いた。最近、両親の会話を聞いていると、父の誠一は「夫と父親の役割」について、母は「妻と母親の役割」について考えているようだった。
「そうね。お父さんは仕事と家庭のバランスをどうするか悩んでるし、私も家事や育児と仕事をどう両立するか、いつも考えてるわ。」
母はフライパンを揺らしながら答えた。
「でも、どちらかを選ばなきゃいけないわけじゃないのよね。役割って、一つじゃなくてもいいのよ。」
この言葉を聞いて、私は少し考え込んだ。
家庭での「娘としての役割」と、学校での「生徒としての役割」。
私はその両方を、ちゃんとこなせているのだろうか?
学校では頼られる立場、家では甘えたい気持ち
私は学校では、クラス委員をしている。
先生やクラスメイトから頼られる立場であり、みんなの前に立って話すことも多い。
「美咲、これどうすればいいかな?」
「クラスの発表、まとめるの手伝ってくれない?」
そんなふうに、頼られることは嬉しい。
でも、それと同時に、責任を感じる場面も増えてきた。
例えば、文化祭の準備。みんなが意見を出し合う中で、私はまとめ役を任され、最終的な決定を下さなければならなかった。
「リーダーだから、みんなを引っ張らないといけない。」
そんなプレッシャーが常にある。
一方で、家では違った。
両親や弟の亮太に囲まれていると、私は「長女」でありながら、「娘」としての立場に甘えることもできる。
家に帰ると、私は学校で感じているプレッシャーから解放される。
母に相談すると、アドバイスをくれるし、父はじっくり話を聞いてくれる。
亮太は時々生意気なことを言うけど、冗談を言い合うことで、気持ちが軽くなることもある。
でも、これでいいのだろうか?
「しっかりしなきゃ」と思いすぎてしまう自分
ある日、友人の奈緒と図書館で勉強していると、彼女がぽつりとつぶやいた。
「美咲って、家でもしっかりしてるの?」
「え? なんで?」
「だって、学校ではいつもリーダーシップを取ってるし、クラスのことも率先してやってるでしょ。家でもそうなのかなって。」
私は少し考えた。
「うーん…家では、結構甘えてるかも。」
そう言うと、奈緒は意外そうな顔をした。
「へぇ、そうなんだ。でも、そういうのって大事だよね。」
「大事って?」
「だって、ずっと『しっかりしなきゃ』って思ってると、疲れちゃうじゃん。家では甘えてもいいと思うよ。」
その言葉に、私はハッとした。
確かに、私は「しっかりしなきゃ」と思いすぎているのかもしれない。
学校では頼られる立場だから、家でもしっかりしなきゃいけないと思っていた。
でも、家庭は「休める場所」であってもいいのだ。
家庭と学校、それぞれの役割のバランスを取る
その日の夜、父と母が話しているのを聞いた。
「仕事と家庭のバランスって、どうしても難しいよな。」
「でも、どちらも大切にしたいって思うのは、悪いことじゃないでしょ?」
母の言葉に、父はうなずいた。
「確かに。大事なのは、どっちかを完璧にやろうとしすぎないことかもな。」
この会話を聞いて、私は思った。
家庭でも学校でも、私は「完璧にやらなきゃいけない」と思い込んでいた。
でも、両方のバランスを取ることが大切なのかもしれない。
学校ではしっかりすることも大事だけど、家では安心して自分を出せる場所にしていい。
そうやって、自分の役割を柔軟に考えれば、もっと楽になれるのではないか。
まとめ:役割を背負いすぎずに、柔軟に考える
この出来事を通じて、私は家庭と学校での役割の違いに気づいた。
- 学校では、頼られる立場だけど、家庭では甘えることも大切
- 完璧にやろうとすると疲れてしまう
- 家庭は安心して自分を出せる場所
- 役割は一つに決めるのではなく、柔軟に考えればいい
両親が自分の役割について考えているのと同じように、私もこれから、自分の役割をどうしていくかを考えながら過ごしていきたい。
そして、無理をせず、自分らしくいられる場所を大切にしていきたいと思う。
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