「人に頼る勇気」—ビジネスマンの誠一が考える、支え合う生き方

父親・夫の視点

家族の中で気づいた「頼ること」の大切さ

仕事から帰宅し、リビングに入ると、有紗が娘の美咲と何やら話し込んでいた。
美咲が少し困ったような顔をしていたので、何かあったのかと思い、そっと耳を傾けた。

「…でも、頼むのって、なんか申し訳ない気がして…」

美咲のその言葉を聞いた瞬間、私は胸の奥に違和感を覚えた。
どこかで聞いたことのあるフレーズ。いや、これは私自身が昔から抱えていた気持ちと同じだった。

家族それぞれが「人に頼ること」について考えていた最近の出来事が頭をよぎる。
亮太はパソコンのことで美咲に頼ることを学び、有紗は自分が何でも抱え込んでしまうことを反省した。
そして今、美咲もまた、「頼る」ことの難しさに直面している。

「頼る」ことは、そんなに難しいことなのか?


頼ることへの抵抗感—自分の過去を振り返る

私自身、「頼ること」が苦手な人間だった。
若い頃から、「自分のことは自分でやるべき」という考えが根付いていたからだ。

仕事では、部下に細かい指示を出すよりも、自分でやってしまった方が早いと思うことが多かった。
それは家庭でも同じで、些細なことでも家族に頼るのが気まずかった。

「お父さん、手伝おうか?」

美咲や亮太がそう言ってくれても、「いや、大丈夫」と断ることが多かった。
本当は手伝ってもらった方が楽なのに、どこか「頼ること=弱さ」のように感じてしまっていた。

しかし、それが間違いだったことに気づいたのは、ある出来事がきっかけだった。


単身赴任で学んだ「頼る勇気」

単身赴任を始めてしばらく経った頃、仕事が忙しくなりすぎて、体調を崩したことがあった。
いつもなら無理をしてでも仕事を続けてしまうところだったが、そのときは違った。

「無理しないで、何かあったら言ってね。」

有紗からのメッセージを見て、ふと考えた。
「人に頼るのが苦手」と思い込んでいたが、本当に苦手なのは「頼られたときに迷惑をかけること」だったのではないか?

そう気づいた瞬間、私は思い切って有紗に連絡をした。
「ちょっと疲れが溜まってて…亮太に『お父さんとビデオ通話しないか』って声をかけてもらえるかな?」

有紗はすぐに亮太に話してくれて、その日の夜、二人とオンラインで話した。
ほんの30分の会話だったが、それだけで心が軽くなった。

「頼る」ことで、こんなにも気持ちが楽になるのかと、初めて実感した。


家族の「頼る力」が、家庭の強さをつくる

今回、美咲が「頼ることが苦手」と話していたのを聞き、私は自分の経験を思い出した。

「頼ることは、決して弱さじゃないよ。」

そう言ってみたものの、どこまで伝わったのかはわからない。
でも、私がそうだったように、美咲も**「頼ることで支え合える」**ことに気づく時が来るはずだ。

「頼る力」は、家族を強くする。
それは、家族全員が「支えられる側」だけでなく「支える側」にもなれるからだ。

「頼る」ことと「支える」ことは、表裏一体。
頼られることで、人は自分の存在意義を感じることができる。


まとめ:頼ることができる人は、強い人

頼ることは弱さではなく、自分と周りを大切にする行動
「頼られること」で、相手は信頼されていると感じる
支え合うことで、家族やチームはより強くなる

私はこれからも、家族の中で「頼る勇気」を大切にしていきたい。
そして、子どもたちが困ったときには、いつでも「頼っていいよ」と伝えられる親でいたいと思う。

コメント

タイトルとURLをコピーしました